Sageガイドツアー¶
以下では,『Mathematicaブック』冒頭のMathematica紹介をなぞって,Sageの紹介を試みる.
電卓としてのSage¶
Sageのコマンドラインに表示されている sage:
プロンプトを入力する必要はない.
Sageノートブックを使っている場合, sage:
に続く全てを入力セルに入れて shift-enter
と押すと計算出力が得られる.
sage: 3 + 5
8
キャレット記号 ^
は「べき乗」を表わす.
sage: 57.1 ^ 100
4.60904368661396e175
Sageで \(2 \times 2\) 行列の逆行列を計算してみよう.
sage: matrix([[1,2], [3,4]])^(-1)
[ -2 1]
[ 3/2 -1/2]
初等的な関数を積分する.
sage: x = var('x') # 記号変数を定義
sage: integrate(sqrt(x)*sqrt(1+x), x)
1/4*((x + 1)^(3/2)/x^(3/2) + sqrt(x + 1)/sqrt(x))/((x + 1)^2/x^2 - 2*(x + 1)/x + 1) - 1/8*log(sqrt(x + 1)/sqrt(x) + 1) + 1/8*log(sqrt(x + 1)/sqrt(x) - 1)
以下ではSageに2次方程式を解かせる.
Sageでは等号として記号 ==
を使う.
sage: a = var('a')
sage: S = solve(x^2 + x == a, x); S
[x == -1/2*sqrt(4*a + 1) - 1/2, x == 1/2*sqrt(4*a + 1) - 1/2]
結果は等式のリストになっている.
sage: S[0].rhs()
-1/2*sqrt(4*a + 1) - 1/2
もちろん,よく使われる種々の関数をプロットすることもできる.
sage: show(plot(sin(x) + sin(1.6*x), 0, 40))
Sageで力まかせに計算¶
まず要素値が乱数で与えられる \(500 \times 500\) 行列を作っておく.
sage: m = random_matrix(RDF,500)
Sageでこの行列の固有値を計算してプロットするのも二,三秒程度の仕事だ.
sage: e = m.eigenvalues() # 約2秒
sage: w = [(i, abs(e[i])) for i in range(len(e))]
sage: show(points(w))
GNU多倍長ライブラリ(GMP)のおかげで,Sageは数百万から数十億桁までの非常に大きな数を扱うことができる.
sage: factorial(100)
93326215443944152681699238856266700490715968264381621468592963895217599993229915608941463976156518286253697920827223758251185210916864000000000000000000000000
sage: n = factorial(1000000) # 2.5秒ほどかかる
以下では \(\pi\) を,少なくとも100桁まで計算する.
sage: N(pi, digits=100)
3.141592653589793238462643383279502884197169399375105820974944592307816406286208998628034825342117068
Sageに2変数多項式を因数分解させる.
sage: R.<x,y> = QQ[]
sage: F = factor(x^99 + y^99)
sage: F
(x + y) * (x^2 - x*y + y^2) * (x^6 - x^3*y^3 + y^6) *
(x^10 - x^9*y + x^8*y^2 - x^7*y^3 + x^6*y^4 - x^5*y^5 +
x^4*y^6 - x^3*y^7 + x^2*y^8 - x*y^9 + y^10) *
(x^20 + x^19*y - x^17*y^3 - x^16*y^4 + x^14*y^6 + x^13*y^7 -
x^11*y^9 - x^10*y^10 - x^9*y^11 + x^7*y^13 + x^6*y^14 -
x^4*y^16 - x^3*y^17 + x*y^19 + y^20) * (x^60 + x^57*y^3 -
x^51*y^9 - x^48*y^12 + x^42*y^18 + x^39*y^21 - x^33*y^27 -
x^30*y^30 - x^27*y^33 + x^21*y^39 + x^18*y^42 - x^12*y^48 -
x^9*y^51 + x^3*y^57 + y^60)
sage: F.expand()
x^99 + y^99
Sageでは,1億を正整数の和として表す仕方を計算するにも5秒以下しかかからない.
sage: z = Partitions(10^8).cardinality() # 約4.5秒
sage: str(z)[:40]
'1760517045946249141360373894679135204009'
Sageにおけるアルゴリズム群の利用¶
Sageを使うということは,オープンソース計算アルゴリズムの世界最大級の集大成を利用できることを意味している.